神々LOOKS YOU

 なんでもない話。

 忘れられない瞬間は些細なものばかりだ。酔っ払った帰り道の電柱、朝の駅でしゃがみ込む女の人、揺れる歩道橋。理屈っぽい僕は記憶にすら理由を求めてしまうけれど、きっと脳みその中は想像以上に雑然としているのだろう。非合理は不愉快ながらも甘美だ。人間が動物だということは、時々思い出しておく必要がある。動物には動物の強固な真実があるし、意識と無意識は案外仲良く寄り添っている。