そのスピードで

 箱根駅伝の話。

 お正月のTLは箱根駅伝の話題でもちきりだった。普段はリストを眺めてばかりだけど、こういうときはメインのTLを見るのが楽しい。特定の大学を応援している人、全体の趨勢を見守っている人。沿道の様子や実況の内容、各校の作戦に注目している人なんかもいたりして、それぞれの楽しみ方があって素敵だなと思った。

 トップを独走する東洋大学の選手を眺めながら、スポーツの残酷さについて考えていた。日々の暮らしのなかで、人との差を定量的に見せつけられることというのは、案外少ない。評価軸がいくつもあったりゲームのルールが複雑だったりで、順位や結果がうやむやになることも多い。僕たちは毎日、微妙に負けたり、小さく勝ったりする。それが日常だと思う。

 でも、スポーツは違う。東洋大学の柏原くんは、今までの誰よりも速く箱根の山を駆け上がったらしい。彼よりも過酷な鍛錬に耐えた選手も、いたかもしれない。悲壮な覚悟でレースに望んだ選手も、たくさんいるだろう。あれだけの大イベントなのだから「箱根駅伝で優勝できるなら、死んでもいい」と思ったランナーも、一人ではないはずだ。それでも、柏原君が圧倒的なスピードでゴールしたこと、東洋大学が圧勝したことに、一切の反論の余地はない。結果の力強さは、あらゆる文脈に優越する。スポーツの結果に「たられば」を挟み込む隙間は、(本当のところ)存在しない。絶対的に勝敗が決してしまうという、戦いの本質を見せてくれるからこそ、人はスポーツに熱狂するのだと思う。「白黒がついてしまう」ことに、スポーツの美しさはある。

 どうしたって日常は曖昧な色をしている。まじりけのない勝負事に没頭するのも、たまにはいいものだなぁと感じた二日間だった。