オシャレ!

 松浦亜弥の話。

 彼女の最初のアルバム「ファーストKISS」を、かれこれ10年近く愛聴している。「オシャレ!」を聴くたびに、この歌詞を当時中学3年生だった松浦亜弥に歌わせたつんくは変態だなぁと思う。

 「コミュニケーションをメタな視線から分析できること」と、「メタな視線で得られた教訓を現実にフィードバックすること」とは、必ずしもセットではない。松浦亜弥は「あやや」の虚構性を自覚しながらも、それを放棄する気はない。(当時の)松浦亜弥は、本人を含め誰もがフィクションだと知っている「あやや」を、プロとして粛々と演じていた。この曲の醒めた歌詞には、松浦亜弥の寂しさと、寂しさをも飲み込むプライドが同居している。「オシャレ!」を軽やかに歌う彼女を、僕はたまらなくカッコいいと思う。