君の話

 煙草の話、その2。

 香水を振ってガムを噛めばそれなりにごまかせるけれど、手には不摂生の名残が留まっている。こまめに手を洗う癖がついて以来、指にささくれが目立つ気がする。

 匂いは夜を越えられない。端のほうから曖昧になっていく。無様に溶ける過去は、煙越しに眺めるくらいがちょうどいい。