夜が明ける

 朝の話。

 早起きは得意だけれど、寝起きはあまりよくない。目にコンタクトを、口にパンを無理矢理突っ込んだあとでも、頭の隅は毛布に後ろ髪を引かれている。身支度を整えて靴ひもを結ぶ瞬間も、出来ることなら今すぐ寝たいと思っている。

 週に何度か、普段より早めに家を出る。電車に揺られているあいだに、今日が昨日に取って代わる。ダイヤを律儀に守る電車、滑らかに高度を上げる太陽。僕は、今日を始めた振りをする。