Red light, Blue light, Yellow light

 信号の話。

 井の頭通りに立つ信号機の足下にくっついたパネルは「しばらくおまちください」の文字を控えめに光らせている。ここで言う「しばらく」は、20秒だろうか、30秒だろうか。僕の思う「しばらく」よりも、ずいぶんと長く感じる。10時半の井の頭通りなんてロクに車は走っていないから、パパっと信号を青に変えてくれてもいいような気がするけど、事故防止やら他の信号との兼ね合いやら、なにがしかの大事な理由で信号はのらりくらりと赤を引き延ばしているに違いない。

 この信号機は僕が通り過ぎた後も律儀に点滅したり切り替わったりするのかなぁと思うと、なんだか急に信号が偉い奴のように思えてきたので、スッカスカの大通りを前にして道路交通法を遵守した。自分の意志で立ち止まった分、信号よりは僕のほうが偉い。はず。