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 愚痴の話。

 愚痴を言うのがあまり得意ではないらしい。そもそも嫌な気持ちになることが少ないし、ご飯を食べるか人と話せば、大抵のことは忘れてしまう。僕個人の毎日はそれほど深刻でない諸々で彩られていて、そのことに僕はとても満足している。どうしても澱が溜まるときは、こうして不満の輪郭を撫でる。キーボードを叩く音とディスプレイの光で消えてしまうのだから、僕のくだらない退屈や寂しさなんて極めてどうでもいいものばかりだ。

 肩代わりしてあげられない重荷を背負った人を見ると、どうしたものかと思うけれど、そんなことを考えるの自体がひどく傲慢な気もする。ただ見ているだけ、励ますだけ、話を聞くだけしかできないから、せめてそれだけは丁寧に。人の痛みを小さく見積もらないように、できる限り気をつける。