光の川

 
 歩道橋の話。


 品川駅の高輪口を出てすぐのところに、第一京浜にまたがる大きな歩道橋がある。長くまっすぐ続く大通りを高さ5メートルから眺めると、よしなしごとから浮き上がったような、不思議な気分になる。足下をすり抜けるライトを数える。迎え入れたり、送り出したり。中途半端な非日常が楽しい。

 ずっと見物していたいけれど、電車の時間が近づいている。僕は名残惜しくて目線を上げる。緩いカーブとビルのせいで、田町の駅は見えない。

 いつかは眼下の列に加わらなければならない。歩道橋から降りる階段を見つけずに済む方法は、結局見つからなかった。