美しき人間の日々

 相田みつをの話。

 先輩に誘われて、有楽町にある相田みつを美術館に行ってきました。ここね。
(http://www.mitsuo.co.jp/museum/index.html)

 相田みつを上地雄輔の進化型、みたいな認識しか無かった僕にとっては、目からうろこの一日でした。やっぱり、人気のあるものには理由があるのね。以下、懺悔。

  
 【僕の誤解その1 みつをはヘタウマ専門】
 
 一番衝撃的だったのはこれ。僕はてっきり、相田みつをというのはあのヘタウマな字しか書けないもんだと思っていた。大いなる誤解でした。みつを22歳の作品、めっちゃすごい。うますぎてやばい。先輩とも話してたんだけど、考えてみればピカソだって昔は素直に美しい絵を描いていたわけで、みつをがハナからヘタウマだったわけがない…んだけど、まぁとにかく僕はみつをを甘く見ていた。みつをはすごい。あれは「美しい文字」という概念を脱構築した結果です。元となるテーゼ(綺麗なみつを文字)は是非、会場で見てみて下さい。びびるよ。

 【僕の誤解その2 みつをはポエマー】
 
 みつを=「にんげんだもの」だと思っていた。相田みつを美術館には沢山の「にんげんだもの」が並んでいて、自分のホモサピエンス性を痛感させられるんだろうな、なんて思っていた。This was 誤解 too. みつをは「にんげんだもの」以外の詩も書くし、文章も書きます。僕はみつをpoemよりみつをproseのほうが気に入りました。とても美しい文章が沢山ならんでいました。僕もあんな文章が書けるようになりたい。
 
 「ろうけつ染め」という染色法で作られた作品もいくつかあった。布に蝋を塗って、そこが白く抜けるように染めるみたい。どれも不思議な色合いで、筆で書かれたものとは別の味がある。みつを、色彩感覚も抜群です。マルチな才能の持ち主。

 【僕の誤解その3 みつをは適当に書いてる】

 半日前の自分をぶんなぐりたい。「こんなんさあ…ちょちょちょと書いて、ぺーって壁に貼っただけじゃん?ボロい商売だよなwwww」THIS WAS GOKAI TOO.「みつをの部屋」を再現したブースがあったんだけど、半紙の山、山、山。すごいな〜と思って眺めていたら、ブースの脇には実際のアトリエの写真が。再現ブースの倍は半紙がありました。あの「にんげんだもの」の一言を書くのにこれだけの枚数をかけるのかと感銘を受けました。あれは手遊びじゃなくて、大真面目な思索の結果です。本気じゃなきゃ、あんなことできない。

 先入観やら誤解を取っ払ってみると、相田みつをの作品はデザイン性にもとても優れているなと思いました。一見いびつでも、一枚の絵としてバチッと決まっている。漢字とひらがなのバランス、文字の間隔といった、全体の配置がとってもよくて、なんか不格好じゃね?と思った作品でも、じっと眺めているとこの形がベストだと気づかされる。一度にたくさんのみつを作品を見ることで、時間の経過による作風の違いも分かってよかった。年を経るごとに、力が抜けてデザインが洗練されていた気がする。
 

 今日学んだこと。

相田みつをは、とてつもない努力の果てにあの作風に到達した
相田みつをは、美文家である
相田みつをは、優れたデザイナーである

 ものは試しというけれど、やっぱり生で見るとなんでも好きになりますね。リスペクトを評してポストカードを一枚、あと僕もポエマーの端くれとして成り上がるべく筆ペンを購入してきました。これで僕も個展とか開いちゃうぜぐへへへへ。全裸モデル募集中です。 


 かみじは きそのない みつをなんだなあ
 しんこきゅうからの 
 よっしゃ よっしゃ てらわろす
         
              けんと
 
追伸 よねさん、誘って頂いてありがとうございました!