Save Room

 片付けに失敗した話。

 年始に一念発起して片付けを始めたものの、気づけば計画は頓挫していた。とにかくモノが多い。いくらなんでも多すぎる。至るところに積み上がった本のせいで、僕の部屋はちょっとした古本市みたいになっている。クローゼットのなかには、満員電車よろしく詰まった服。このうち、日常的に着る服は、どれだけ多く見積もっても半分くらいだろう。いま大地震がきたら、ロフトから降り注ぐ漫画の雨で溺死すると思う。

 巷では片付け本がちょっとしたブームらしい。僕も電車のなかで広告を見かけたことがある。

 なにが必要でなにが不要かを、人に委ねることほど馬鹿らしいことはない。本当は片付けられないんじゃなくて、片付けたくないんだってことを、僕はちゃんと分かっている。だらしなくて、寂しがりやで、手垢のついた思い出に囲まれていたい、そういう僕の内側が、この鬱蒼とした部屋に剥き出しになっている。部屋がすっきりするのは、当分先になると思う。モノを捨てるには、気持ちが散らかりすぎている。